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父の死からちょうど3年後、
2009年の夏休み最後の日でした。

長男は小2、娘は年長、
末っ子はテシテシ歩きの1歳4か月。

朝9時、母から電話がありました。
おばあさんのの呼吸が浅くなってきている、と。

祖母は、民間の介護施設にいました。

明日は始業式だし、帰ってこなくていいよ、
母はそういいました。

「わかった」と電話を切った後、
思い直して、
子どもたちに明日の始業式の準備をしておくように言いました。
(長男は几帳面なので、宿題は終わっていました)

その間に急いで準備して
母に「今から帰る」と告げました。

母は最初、帰らなくていい、と言っていましたが
汲み取ってくれました。

私の最後の孝行。

車で急いで帰りました。
それでも3時間近くかかります。

昼過ぎに着いて、
直接施設に行きました。
母は、
親戚筋にはまだ連絡はしていませんでした。

連絡をすれば、
ひっきりなしに居室に詰めかけて、
その応対でバタバタしてしまいます。

母と私と子どもたちだけ。

居室は静かでした。
点滴もモニター類も何もついてない。

祖母は穏やかに横たわっていました。

思い出したように顎で浅く呼吸します。
目は閉じていて、意識はありません。

手も足も白く細い。
その手や肩や足を
みんなでさすり、名前を呼びました。


祖母は歌が好きでした。

私が子どもの頃、よく歌ってくれました。

夕やけこやけ、赤とんぼ、
青い目の人形、朧月夜。

いわゆる尋常小學唱歌。

祖母を見送るときは、
私が枕もとで歌ってあげようと
決めていました。

そのことは誰にも言ったことないのに、
母も、祖母の枕元で
これらのうたを歌っていました。

母も
祖母への思いは同じなんだと思いました。

子どもたちも 
「ゆりかごの歌」を一緒に歌いました。

子どもたちは無邪気。

死に近づく祖母を前にして、
屈託なく笑っています。
末っ子はベッドで祖母の足元に座っています。

臨終の場が病院に移る前の時代の風景
そのものです。

子どもたちが笑うと、
祖母は応えるように
細い息を吐きます。

「おおきい おばあちゃん」

名前を呼ぶと、表情がかすかに動きます。

静かに穏やかに。
何にもかえがたい時間。

命が生まれるのと同じくらい尊い。
人はどうして、この時間を
簡単に他人(医療)に渡してしまうんだろう。

3時間くらいそうしていました。

娘がトイレへ行くというので
私がついていきました。

母と長男と末男が残っていました。

「大きいおばあちゃん、息してない」
祖母の呼吸が止まったのに気付いたのは長男でした。

母はその時、目を離していたようで
私が部屋に戻ると、祖母はこときれていました。

職員さんに連絡し、医師を呼んでもらいました。


愛する家族に囲まれて
穏やかに祖母は旅立っていきました。

看護師をした経験から
「大切な祖母は、
こんなふうにして送り出してあげたい」と
思っていた
私の想いがかないました。

命が消える瞬間に
子どもたちが何かを感じてくれたか、
何が残るのかはわかりません。

それでいいと思います。

私が意図して導くなど、遠く及びませんから。

祖母は最後に、次代の子どもたちに
尊い学びの機会を与えてくれました。

いのちのバトンは確かに渡ったと思うよ
おばあちゃん。

この子たちが、あのバトンを胸に
これから自分の人生を駆け抜けていくよ。


いのちは続いていく。
何も終わらない。
かたちを変えて、続いていくんだ。
   
 
(追記)

祖母の夫は、24歳で戦死しました。
はじめての子を妊娠中に召集され、
生まれたばかりだった子(私の父)を一度見せに行って、
そのまま出征し、帰らぬ人となりました。

戦死者は、没した日ばかりがクローズアップされ、
誰も、祖父の誕生日を知りませんでした。

祖母の棺に入れるものを探していて
若い頃の祖父の写真を裏返した時、
母とふたりでびっくりしました。

写真の裏側に書いてあった
祖父の誕生日は
なんと、長男と同じ日だったんです。

あれだけつきっきりで
みんなで 祖母の元にいたのに

祖母が息を引き取る瞬間を見届けたのは
長男ただ一人でした。


生まれ変わりなんて言うつもりはありません。

ただ、
運命に引き裂かれて
夫婦を全うしてやれなかった祖母の人生を
ずっと見てくれていたのかもしれない、と
最後の最後にそのことを
伝えてくれたのかもしれないと
そんなふうに感じました。




私の家族の看取りの物語は
これでひとまず終わります。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。


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【2016/02/04 10:00】 | 親との関係
【タグ】 下関  メンタルヘルス  カウンセリング    
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